企業をむしばむリスクとその対策
第28回 ウィズコロナ・アフターコロナの企業戦略 その2
株式会社フォーサイツコンサルティング/ 執行役員
五十嵐 雅祥
(一財)レジリエンス協会幹事。1968年生まれ。外資系投資銀行、保険会社勤務を経て投資ファンド運営会社に参画。国内中堅中小製造業に特化した投資ファンドでのファンドマネジャーとしてM&A業務を手掛ける。2009年より現職。「企業価値を高めるためのリスクマネジメント」のアプローチでコンプライアンス、BCP、内部統制、安全労働衛生、事故防止等のコンサルティングに従事。企業研修をはじめ全国中小企業団体中央会、商工会議所、中小企業大学校等での講師歴多数。
(写真:イメージ)
前回に続き、ウィズコロナ、アフターコロナの企業戦略についてご説明します。
□解説
戦略シナリオの作成には、複数の手法があります。実際にシナリオを作成する際、自社にどの手法を取り入れたらいいかを悩まれることがあると思いますが、戦略シナリオの主目的は、企業戦略や目標設定に影響を与える不確実性を定義する際、メンバーの想像力を喚起することが目的です。ですから、手法そのものにとらわれすぎず、いくつかの踏むべきステップを経てシナリオ作成を行っていくことが重要です。
では、その「踏むべきステップ」とはどのようなものでしょうか。
ステップ1:「主要な変数(不確実性要因)を決定する」
社会情勢の変化、業界の動向など、自社の組織に重要な影響を与え得る要因(変数)を決定します。変数の数は2つないし3つほどに決めます。不確実性の要因が多岐にわたる場合には、その中で最もダイナミックまたは最も不確実な要素のものを選択します。
ステップ2:「選択したそれぞれの変数について、その結果起こり得る可能性を考える」
選択した変数が現実となった場合に、どのような結果になり得るかを検討します。この時の結果を想像する際には、極端なものや、大胆なものにすることが重要です。特に結果が生じるまでの時間軸が長い場合には、なおのこと極端なものにするよう注意します。人は1~3年以内の変化を過大評価する傾向があり、5~10年後の変化を過小評価する傾向があるからです。それぞれの変数によって起こり得る結果を「成果」と呼びます。
ステップ3:「変数の相関マトリクスをつくる」
選択した変数とその結果(=成果)の相関マトリクスを作成します。下記の図は2つの変数と成果から成る基本的なマトリクスです。
相関マトリクスの作成により、変数ごとの成果の組み合わせを分析しやすくなります。このマトリクスは変数を増やす、またはさらなる成果を考えると多次元に拡張していくことが可能になります。ただし、分析するシナリオが複雑になったり、成果の解釈の困難さも増大してしまうことに留意が必要です。
ステップ4:「シナリオを作成し、それぞれのシナリオに、耳に残り、記憶しやすい名称を付ける」
それぞれの変数による結果(=成果)ごとに、簡単な物語を設定します。そのうちの1つは現状から見て妥当と予想できる内容になるでしょう。残り(上記の場合3つのシナリオ)は、異なる将来についてのシナリオになるはずです。うまく異なるシナリオが作成できたら、それそれのシナリオに特徴的な名前を付けることがおすすめです。この命名は、シナリオを議論する際の助けになります。
ステップ5:「それぞれのシナリオごとの特徴と、その中での成功するための要因を検討する」
それぞれのシナリオの中で明らかになる特徴を検討します。同時に、それぞれのシナリオ(異なる事業環境)において、事業が成功するための主要な要因を検討します。
からの記事と詳細 ( 5ステップによる戦略シナリオの作成手法 | 企業をむしばむリスクとその対策 - リスク対策.com )
https://ift.tt/3aGVpOp
No comments:
Post a Comment