オリックスは宮城、ヤクルトは高橋が先発。昨年のシリーズ第2戦と同じ左腕同士の投げ合いになった。両投手ともシーズン終盤、宮城は本来のピッチングができず、高橋はコロナで離脱。不本意な状態だっただけに、どちらが立て直しているかが勝負の分かれ目になると思っていた。

立て直せていなかったのは、宮城だった。5回1/3で3失点。それほど責められる結果ではないのだが、投球内容はシーズン終盤と同じだった。

昨年と比べ、クロスステップしすぎている。だから左肘が下がり、上からの角度がなくなっている。

これが短いイニングを投げる左のリリーフならいい。しかし先発となると話は違う。球威があるうちはいいが、体のひねりが大きくなり、スタミナもロスしやすい。横からの角度はつくが、その分、肘も下がって逆球が多くなる。相手打線は右打者を並べてくるだけに、デメリットの方が大きくなってしまう。

山田に浴びた3ランも、内角を狙った真っすぐが甘くなった。初球も内角の真っすぐがやや甘くなっていたが、山田は見逃しストライク。反応できていないから同じ球種を続けたのだろう。カウントもバッテリー有利で、宮城ほどの実力があれば「今度はもう少し厳しく投げよう」と考えたはず。それでも前に投げた球より甘くなったのは、クロスで投げる弊害が出たのだと思う。

昨年の右打者への被打率は2割1分2厘で左打者が2割3分4厘。左打者の方が打たれていたが、今季は逆に右打者が2割6分2厘で左打者が2割2分。数字が示すように、クロスで投げると左打者には効果があるが、右打者は横からの角度がつく分、打者のミートポイントまでの距離が長くなってしまう。打たれたヒットは右打者に5本で、左打者は1本。今季はいつからクロスで投げていたかは分からないが、その影響が今試合でも出てしまった。

一方の高橋は、宮城とは逆でプレートの三塁側から投げている。横からの角度を捨て、ストライクゾーンでの力勝負。上からボールをたたけているから、抜けた真っすぐは高めのボールゾーンにいくため、打者が空振りする。自らのピッチングスタイルとマッチしているため、失投を武器にできていた。

もちろん、投手の能力だけが勝負を分けたわけではない。中村は状況を理解し、打者の反応を見てリードできる。しかし伏見は自分の頭の中だけのリードが中心で、打者の狙いをかわそうとするばかりで、状況や投手の特性を理解し、臨機応変に組み立てられていなかった。オリックスが得点できなかった4回裏と、ヤクルトが得点した5回表に差が出ていた。

ずばぬけた球威を持つオリックスのリリーフ陣であればまだいいが、ある程度の失投を計算して組み立てていく宮城のようなタイプだと苦しくなってしまう。強力なヤクルト打線に対抗するには、強力な投手陣の良さを生かさないといけない。本拠地初戦で黒星を喫したオリックスは苦しくなった。(日刊スポーツ評論家)