「夢中で打ってしまったんですけど、入って良かったです」
構成=鈴木健一郎 写真=Getty Images、FIBA.com 長岡萌映子にとってはブレイクスルーとなるパフォーマンスだった。東京オリンピックの初戦となったフランスとの試合で、長岡は11得点3アシストを記録。前半こそ無得点に終わったものの、後半立ち上がりに5連続得点でチームに勢いを与え、残り30秒で2ポゼッション差とフランスを突き放す3ポイントシュートを決め、接戦を日本が制する原動力となった。 「前半は0点で自分的には全然良くなくて、ここまで来たらやるしかないって思って、後半出だしから積極的に攻めていきました。3ポイントも含めドライブだったカッティングだったりディフェンスだったり、自分の仕事をただやっただけという感じです」と、長岡は自分のパフォーマンスを説明する。 ちなみに最後の3ポイントシュートについては「いや、もう逆になんで打っちゃったんだろって思ったんですけど(笑)、夢中で打ってしまったんですけど、入って良かったです」と、照れたような笑いとともに振り返った。 それでも、プレッシャーのかかるオリンピック初戦でチームは攻守に機能し、その中で長岡が主力としての仕事を見事に果たしたのは間違いない。もっとも、彼女にとって大事なのは勝利という結果だ。 「本当に自分の活躍というよりも、やっぱりチームが勝つことが一番です。自分がスタートで出ていたとしてもベンチにいたとしても、やる仕事は変わらないと思うので。リオから試合に出られるという喜びだったりうれしさはあるんですけど、今日一番うれしいのはやっぱり勝てたことです」と長岡は言う。
「経験値として、5人リオに行っているのが今になって生きている」
2016年のリオ五輪には参加したものの、持ち味を発揮することはできず、チームはベスト8と結果を残した一方で長岡にとっては悔しい大会となった。あれから5年、国際経験を積んで彼女自身もプレーヤーとして成熟し、この東京オリンピックに臨んでいる。 「絶対的に自信を持ってプレーできるようになりました」と、長岡は自分自身の変化を語る。「それにやっぱり経験値として、5人リオに行っているのが今になって生きていると思います」 高田真希、町田瑠唯、宮澤夕貴、三好南穂、そして長岡。5人の『リオ組』はそれぞれの役割を全うし、攻守が噛み合う若いチームを引き締めてバランスを整えている。 「日本としてスピードを生かした全員バスケットをずっとやってきて、危ない時間帯だったり良くない時間帯があったんですけど、最後は全員で粘ってディフェンスから走ることができた」と長岡は言う。この戦いぶりを続けられれば、日本代表の上位進出は間違いない。結果だけでなく内容も、次に繋がる価値ある1勝だった。
バスケット・カウント
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