「2020年大統領選は不正選挙だった! 我々は圧勝した!」
前米大統領のトランプが叫ぶと、数千人の支持者たちは「You won!(あなたが勝利した)、You won!、You won」と叫ぶ。
トランプ前米大統領の支持者による前代未聞の連邦議事堂襲撃事件から6日で半年を迎えます。事件直後にバイデン政権が誕生してからも、トランプ氏は昨年の米大統領選挙で「不正が行われた」と主張し続けています。全6回の連載では、トランプ氏と周辺の関係者らが選挙結果を覆し、バイデン氏を大統領の座から引きずり下ろそうとうごめく様子に迫ります。初回は、トランプ政権初期に大統領首席戦略官を務めたスティーブン・バノン氏にスポットライトを当てます。
6月26日、オハイオ州で開かれたトランプの退任後初となる大規模集会。参加した女性は「間違いなく選挙は盗まれた。バイデンは私たちの大統領ではない。トランプが私たちの大統領だ」と興奮した様子でまくし立てた。
トランプ支持者の間に渦巻く「不正選挙」への強い怒りの感情。退任してもなお、トランプが共和党を席巻し続けている政治エネルギーの原動力といえる。
その民意のうねりの陰に、支持者たちの熱狂をあおる人物の存在がある。
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1カ月ほど前の5月中旬、首都ワシントン市内の閑静な住宅街。取材場所として指定された建物に入ると、奥の部屋だけ煌々(こうこう)とライトが輝き、マイクやカメラなどの機材がセットされた収録スタジオがあった。星条旗と米国の国鳥、ハクトウワシをあしらったデザインに「WAR ROOM(ウォールーム、作戦指令室)」と書かれた大きな旗が壁一面に貼られている。
旗の前に、黒いヘッドホンをしてどっかりと座っている大柄の男がいた。肩まで伸ばした髪、無精ひげ、黒シャツにチノパン姿。
元米大統領首席戦略官で、右派ポピュリストのスティーブン・バノンだった。
バノンは目の前にある自分の姿が映るテレビスクリーンを見据えていた。
室内に、大音量のドラマチックな音楽とともに、番組のナレーションが響き始めた。「中国では新型コロナウイルスで100人以上が死亡し、世界各地に感染が拡大している。我々は常に最悪の事態に備えないといけない。そうしなければ、最悪の事態が起きるからだ。『ウォールーム パンデミック』、ここにいるのが、ホストのスティーブン・K・バノン――」
ナレーションは中国で新型コロナが一昨年末に確認された直後に録音されたものが繰り返し使われていた。
バノン氏はいったい何を語るのでしょうか?記事後半では、記者がバノン氏が描く「秘策」に迫ります。また、一度は袂を分かったバノン氏とトランプ前大統領が再び接近した背景についても伝えています。
そしてバノンは、スタジオで…
からの記事と詳細 ( トランプは「戻ってくる」 バイデン打倒へ究極シナリオ - 朝日新聞デジタル )
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