コロナ禍を背景に、DX推進の流れは加速している。しかし現実に成果を上げている企業は、ごくわずかしかない。このような状況で企業がDXを達成するためには、どうすればいいのか。まずはDXとは何かを知ることから始めたい。

DXにたどり着いている日本企業はわずか5%
残念ながらまだまだ日本企業はデジタルをはじめとする最先端技術の活用は進んでいない。2020年12月に経済産業省が発表した「DXレポート2(中間とりまとめ)」に、興味深い調査結果が取り上げられている。調査に答えた企業の95%が「DX(デジタルトランスフォーメーション)にまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベル」か、「散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況にある」というのだ。ショッキングに思われるかもしれないが、他の調査でも同様の結果が出ている。DXで成果を上げている企業はひいき目に見て、全体の1割に達していない。
よく使われているもののDXとは何なのか、何がどうなればDXなのかについては、意外なほどきちんと説明されていないことが多い。目指すべき姿が分からないのに実現するのは難しいだろう。本コラムの第1回目となる今回は、3つのステップに分けてDXの実現に至る考え方を紹介し、DXの理解につなげたい。
DXの3ステップに関しては、先述の「DXレポート2(中間とりまとめ)」が役に立つ。同レートでは、DXに至る取り組みを「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」「DX」の3つのステップに分けて捉えている。
最初のデジタイゼーションとは、アナログ・物理データをデジタルデータ化するステップ。例えば、紙の書類のデジタル化が相当する。次のデジタライゼーションは、個別の業務・製造プロセスをデジタル化するステップにあたる。例えば、Eメールやファイル共有サービスなどを使って、デジタル化した情報を活用する段階を指す。
そして目指すべき姿であるDXは、組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化を実現し、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革を実現するステップだ。デジタル化が組織を超えた業務のプロセスに及んでおり、事業やビジネスモデルの変革をもたらす点がDXの本質にほかならない。単なるIT化との違いも、実現が難しい理由もここにある。ツールやサービスを買って終わりではないのだ。
3つのステップを確実に踏んで真のDXを達成
3つのステップは、必ずしも「デジタイゼーション」→「デジタライゼーション→「DX」の順で段階的に進めるものではない。難しいかもしれないが、場合によっては、並行して取り組みを進めなければならないこともある。いずれにせよDXには、先行する2つのステップ実現しているのが前提である。デジタル化したデータ、デジタル化したプロセスの前提がないままDXが実現することはない。
もちろんデジタイゼーション、デジタライゼーションの取り組みに終始するだけでは、事業やビジネスモデルの変革を果たす“真の”DXにはたどり着かない。IT、デジタルに何が可能か、変革によって企業に何をもたらしたいのかを理解し、技術の導入だけでなく関係者を巻き込んで実現に向けて動いていく必要がある。
IT化、システムを開発し予定通りに求められていいたものを動かすことは簡単ではないが、企業の変革がゴールであるDXはさらに難しい。だからこそより重要な取り組みだといえる。
しかし、現実を見ると最初のステップであるデジタライゼーションすら完ぺきにはできていない企業が多い。論より証拠。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、テレワークを進めようとして、ペーパーレス、つまりアナログのデジタル化が不徹底だったために障害にぶつかるケースが多発した。書類に捺印するためだけに出社を強いられた経験のある読者もいるのではないか。
とはいえ、まだであればデジタイゼーション、デジタライゼーションを進めつつ、DXを実現していく以外の答えはない。デジタルの理解が不可欠である以上、企業の中で最もITに精通している情シスが果たせる役割は大きい。技術に詳しいだけでなく、システム化を通じた業務プロセスの変更が何を意味するか、何が実現できるのかを知っている情シスのもう一つの顔もDXを進めようという企業にとって重要な意味を持つと考える。
情シスは忙しい。だがDXで情シスが果たせることは思っている以上に大きい。余計なおせっかいと受け取られるかもしれないが、だからこそ、その能力を可能な限り生かしてほしい。
初回となる今回はDX実現までの3ステップから、DXとは何かについて考えたが、情シスへの期待を記して終わることになった。果たして読者の皆さんはどうお感じになっただろうか。リアルかオンラインかを問わず、議論していただければと思う。
SNSを使われる場合、#jyosyslabo を使っていただけると幸いだ。
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