これまで営業で成果が生まれる仕組みに関する法則「営業成果の法則」に沿って、営業活動の基本セオリーと、それがオンライン営業でどのように変化するかについて、具体例をまじえてお話ししてきました。
営業活動をさらに効果的に行なっていくためには、そのステップを知り、ステップに従って活動する必要があります。ここからはその営業ステップの観点から、オンライン化で営業がどのように変わっていくのかをみていきますが、まず今回は営業の基本ステップとはどのようなものであるのかについてお話しします。
成果を挙げる営業の「5つのステップ」
営業は飛び込み営業であれ、ルート営業であれ、一定のステップを踏んでセールスすることが重要です。
ステップを無視して、いきなりセールスしようとする営業は「押し売り営業」であり、相手がたまたまその商材を待っていたような「出会いがしら」的状況でない限り、成約に結び付く確率は非常に低く、効率的な営業活動とは言えません。
あるべき営業活動のセオリーとして、次の5つのステップを順序だてて踏むのが肝要です。
ステップ1 予備調査(=営業知識の積み上げ)
ステップ2 カットイン(相手のガードを緩める親交ステップ)
ステップ3 ヒアリング(相手の真のニーズを引き出す)
ステップ4 セールス(またはプレゼンテーション)
ステップ5 クロージング(成約を獲り付ける)
この5つのステップは、もちろん商材によって、あるいは営業スタイル(飛び込み営業orルート営業、プッシュ営業orプル営業など)によって、トータルで費やす時間的は異なります。
たとえば、飛び込み営業では、ステップ1に店舗外観調査や出入りの客層観察で5分、ステップ2~5に30分という商材も存在します。そうかと思えば、プロジェクト的なビックビジネスの売り込みでは、ステップ1に1か月をかけ、かつステップ2~5に半年から1年を費やして、ようやく成約に結び付けるケースも珍しくありません。
しかし、商材、営業スタイルにかかわらず基本はこの5つのステップを踏むことで、営業の成約確率は確実に向上します。
「予備調査」にどう取り組むか!?
予備調査とは、営業成果の法則でお話しした「営業知識」と基本的にイコールです。なかでも「情報知識」にあたる、相手先情報、相手先の業界情報は不可欠な事前収集事項です。
なぜならば、予備調査がなければ初対面の場合どこから話を切り出していいものか材料がないからです。すなわち、次のステップ2である相手の懐に割って入るカットインは、予備調査なしにはできないのです。
ルート営業先で相手との人間関係ができている場合でも、情報提供等によって信頼感をより強固なものにするという位置づけでのカットイン行動は欠かせません。予備調査がなくカットインが進まなければ、ヒアリングもままならず、いきなりセールスをせざるを得ない状況になってしまうのです。それでは成果が上がるはずがありません。
※「営業知識」について
【新連載】営業成果の法則と必須な営業知識を知る! 「基本」はオンラインでも変わらない(大関暁夫) J-CAST 会社ウォッチ2021年2月15日付
次にステップ2のカットイン。これができなければ相手は心を開いてくれず、たとえば相手のニーズを探ろうとヒアリングをかけても、多くを語ってはくれないでしょう。初対面なら、「今は忙しい」とばかりに門残払いにあうのが関の山です。
ルート営業でも同じこと。日常的に集めた「情報知識」を活用して情報提供や話題づくりをしているなら、相手の信頼感が増してヒアリングにも丁寧に回答してくれるでしょうが、普段から訪問時は御用聞き並みのやり取りであったり、仕事に関係のない世間話に終始していたりするなら、仮に仕事がらみのヒアリングを仕掛けたとしても、「この担当者に必要以上の情報を話しても無駄」と思われて、話もそこそこに体よく切り上げられてしまうことになるでしょう。
ステップ3のヒアリングは、最終的な成約につなげるために営業の5ステップの中で最も重要なステップです。これもまた予備調査材料なくして有効なものにはなりません。このステップが最重要であるのは、ヒアリングなくして相手のニーズに合致したセールスや提案は絶対にできないからです。
結局のところ営業活動で最も成約確率を高めるものは、価格の安さでも押しの強さでもなく、正確なニーズの把握なのです。正確なニーズの把握がないセールス、提案、プレゼンテーションは、営業のほとんどムダ撃ちになってしまうのです。
営業活動を成果に至らせるセオリーがある
予備調査で材料を揃え、それを活用したカットインを経て相手のニーズを的確に把握するヒアリングをおこない、その上で有効なセールスをしてクロージングで成約に至る、というステップを踏むこそが、営業活動を成果に至らせるセオリーなのです。
最後に「営業の5ステップ」には、じつはもう一つ、「プラス1」の行程があります。それは継続アプローチです。営業は1回成約に至るとその成約先を疎かにしがちですが、成約した先にこそうま味があるのです。
すなわち、他部署や関連会社、出入り業者などの紹介案件獲得という営業の横展開です。紹介案件は一般的にカットインの負担が軽くなったり、場合によってはいきなり確実なニーズが獲得できるという大きなメリットがあります。労せずして次なる成約を得られる可能性が広がる宝の山なのです。
営業は「5ステップ+1」の活動を習慣づけ心掛けることが、着実に成果を積み上げる近道であると言えます。
次回は、この「営業の5ステップ」をさらに深堀りします。(大関暁夫)
からの記事と詳細 ( 営業は「5ステップ+1」活動の習慣づけが大事! その中身を「解剖」する(大関暁夫) - J-CASTニュース )
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