佐藤祐生
(28日、高校野球選手権大会準決勝 智弁和歌山5-1近江)
責任感が近江の右腕、山田陽翔(はると)を踏ん張らせた。
5試合目の先発。強打の智弁和歌山に立ち上がりから攻められた。釣り球には手を出してくれず、少しでも浮いた甘い球ははじき返された。一回に2点を失った後も毎回、走者を出された。
「みんなの思いを背負っている」と2年生。簡単に主導権は渡さない。1点を追う五回、1死満塁と攻められた。先輩捕手の島滝悠真に「低めに放れていたら、お前は大丈夫」と言ってもらった。相手5番をワンバウンドするスライダーで空振り三振に。球威が増す。次打者を、この日最速の146キロで一邪飛に仕留め、小さく右拳を握った。
だが、力尽きた。六回に2点を失い、七回途中で降板した。
試合後、泣き崩れた。背中に手を添えられ、多賀章仁監督に言われた。「よく頑張った。また、必ずここに帰ってこよう。甲子園で負けた借りは甲子園でしか返せないんやから」。すぐに返事はできなかったが、心は決まっている。「来年またこの場所に、もっと強くなって戻ってきて、先輩たちを超えたい」(佐藤祐生)
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近江の背番号1、岩佐直哉は登板できなかった。準々決勝までの4試合すべてで救援としてマウンドに立ってきた3年生は「準々決勝からひじの調子が悪くなり、投げたかったが投げられなかった」。ここまで計12回と3分の2で194球を投じていた。先発としてこの日も踏ん張った山田陽翔は2年生。「山田がいなかったらここまで来られなかった。僕たち2人で4試合勝てたことはよかった」
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4点を追う九回1死、近江の春山陽生(ようせい)・中堅手の最後の打席は変化球を打ち上げての右飛だった。主将は、準々決勝の九回にサヨナラ打を放った。7番から5番に打順が上がったこの日は4打数無安打だった。ベンチへは笑顔で戻った。「名誉あるベスト4まで来られて、グラウンド上では笑顔でいようと思っていました」。入学時から強いリーダーシップを発揮してきた。試合後、涙がこらえきれなくなった。「僕を信じてついてきてくれた仲間にありがとうと言いたい」
からの記事と詳細 ( 「来年また甲子園に戻ってくる」 近江2年生右腕が誓う - 朝日新聞デジタル )
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