ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
最高データ責任者(CDO)は、ビジネスで効果的な意思決定をするにはデータが必要であることを知っている。その一方で、データを特定のビジネス上のベネフィット(売り上げ増、リスク軽減、顧客サービスなどのハード・ベネフィット)や成果に効果的に結び付けるのは難しいことも理解している。だが、Gartnerの調査「2021 CDO Survey」では、回答者の27%が売り上げ創出や貢献度で評価を受けており、これらの目標を達成している回答者は17%にとどまることが分かった。
「データとアナリティクス(D&A)のほとんどのリーダーは、D&Aのビジネス価値の定義や明確な説明、伝達に苦労しており、経営幹部はしばしば懐疑的だ」と、Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントのアラン・ダンカン(Alan D. Duncan)氏は語る。
ステークホルダーに影響力を持つには、ビジネスコミュニティーにビジョンと戦略を売り込まなければならない。そのためには、目指すビジネス成果(目的)とターゲットとする個々のステークホルダーにどんなインパクトを与えるか(誰のためのものか)を見極め、伝える必要がある。以下に示す6段階のアプローチを用いる。
ステップ1.ステークホルダーに響く強力なビジョンを設定する
ステークホルダーが目指す目標に、論理的にも感情的にも結び付く強靭(きょうじん)なビジョンを提示する。ビジョンでは、進捗(しんちょく)の指標(タスクの完了、技術的なアウトプットの作成)ではなく、インパクトの指標(測定可能なビジネス成果や価値)を強調する。さらに、数字にだけ焦点を当てるのではなく、価値あるストーリーや考え方の構築に、自分の時間の半分を費やすとよい。
「SMART」のアプローチが有効だ。つまり、次の特徴を持つビジネス上のベネフィットを掲げることが望ましい。「具体的(Specific)」「測定可能(Measurable)」「達成可能(Achievable)」「関連性がある(Relevant:この場合は目標との関連性)」「期限が設定されている(Time-bound)」。
ステップ2.阻害要因を明らかにする
阻害要因や課題、問題、リスクを明示的に特定する。「技術スタッフが保身に走っている」「投入できるスキルを備えたスタッフが限られ、実行力に不安がある」「D&Aの取り組みの予算を誰が持つかでもめている」などといった事態がもたらす影響を指摘し、改善策を提案する。
例えば、ビジネス部門のデータリテラシーが低い場合、データリテラシープログラムを開発してエンゲージメントを高め、ビジネスの実データでアナリティクスのプロトタイプを開発して、ビジネス思考を促すとともに、新しいアイデアを共有する。
ステップ3.ビジネス成果を支えるデータを追跡する
D&Aソリューションの設計(データ管理インフラプラットフォーム、データレイクモデル、データウェアハウスモデルなど)を考案するときは、ビジネス価値を生む成果と、それらをサポートするのに必要なデータを対応付ける必要がある。これにより、企業がビジネス上の重要な問題の答えを出すためにアクセスを要するデータの相関を調べられる。
例えば、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)に存在する顧客の連絡先データは、財務システムに保存されている金融取引データと組み合わされる。顧客の行動プロファイルを提供するためだ。このプロファイルはマーケティング担当者にとって、最も利益率の高い顧客セグメントに重点を置いた新しいマーケティングキャンペーンを企画する際の指針になる。
ステップ4.ロードマップをビジネス用語で提示する
ビジネス部門向けの主要なD&Aソリューションについて、中間成果物のマイルストーンを示したロードマップを作成する。将来のために長い時間をかけて構築するソリューションでは、構築プロセスを複数の段階に分け、段階ごとに中間成果物を提示する必要がある。こうしたソリューションと成果物については、「何が得られるのか」「いつ得られるのか」「自分にはどのようなインパクトがあるのか」といった問いに対する答えを盛り込んで説明する。
ステップ5.ビジネスの取り組み全般にわたる、D&Aのコストベネフィット分析の要約を示す
D&Aのビジネスケース(投資対効果検討書)を作成する際は、初期投資と継続的なサポートコスト(総所有コスト:TCO)を、期待されるROIの観点から正当化できる必要がある。ビジネスケースは前向きかつ未来志向でなければならず、D&Aを活用する取り組みの実質リターンがプラスになることを示さなければならない。
「先行指標と予測収益にフォーカスする必要がある。企業では、プラスの収益がさらなるイノベーションと戦略目標の達成を支える」(ダンカン氏)
ステップ6.D&Aの取り組みを開始する
直接の責任や期限、次のステップに進む理由を定める。例えば、立ち上げに当たってコラボレーションワークショップを実施し、プロジェクトリーダーに、ビジネス部門と技術部門のプロジェクト参加者の取りまとめや、利用可能なデータの探索を開始する役割を任せる。
出典:Use This 6-Step Approach to Get Buy-In for Data and Analytics Strategies(Smarter with Gartner)
筆者 Laurence Goasduff
Director, Public Relations
からの記事と詳細 ( データとアナリティクス戦略への支持を獲得するための6つのステップ - ITmedia )
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