デジタルマーケティング支援会社アンダーワークス(東京・港)が制作した「マーケティングテクノロジーカオスマップ」には、1300超のツールが掲載されている。技術進歩でツールが増え続ける中、利活用する事業会社のマーケターは自社に適したツールを選定する目利きが求められる。本特集では、ツール導入で起こりがちな失敗、選定手順のフレームワーク、成功事例などからツールの乗り換え・導入の極意を学ぶ。第1回は専門家の意見を参考に選定手順を3つのフェーズに分け、1+10(計11個)のステップで解説する。
スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスや、SNSなどのネットサービスが普及し、消費者の生活に占めるデジタル接点の比率が高まるにつれ、企業のマーケティング活動においてもデジタル技術の活用は欠かせない存在になっている。そうした活動を手助けするのがデジタルマーケティングツールだ。
顧客の購買行動を起点に、自動的にメールを配信するMA(マーケティングオートメーション)や、ソーシャルメディア上の自社に関する投稿を管理するようなソーシャルリスニングツールはその一例。アドビやセールスフォース・ジャパンといった大手からスタートアップまで、さまざまな企業から新たなマーケティングツールが日々生まれ続けている。
下図は、アンダーワークスが2021年7月に公表した「マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN 2021」だ。国内で提供されているマーケティングツールを、「EC」「MA・Eメール・SMS」「ソーシャルメディア」「広告」などの13カテゴリーに分類。さらにカテゴリーごとに細かなジャンルに整理している。その数は実に1317。これらの中から、自社に適したツールを選ぶのもマーケターの役割になっている。
「海外企業の間では、マーケティングテクノロジーのROI(投資利益率)算定や、ツールの導入・活用に責任を持つ『CMTO(最高マーケティングテクノロジー責任者)』のような職種も登場している」とアンダーワークスの田島学社長は言う。実際、「ツール運用や選定のコンサルティングを依頼してきた広告主の担当者が、もともとツール開発側に在籍していたため、非常に詳しいというパターンもある」と田島氏は続ける。
そのような高度なスキルを持つ人材を外部から採用できるのが理想だが、現実的には在籍するマーケターが選定に関わることが一般的だろう。
マーケツールが宝の持ち腐れになる理由
ところが、「デジタルマーケティングを強化するために、事業会社がDX(デジタルトランスフォーメーション)の専門部隊などを設置したとき、ツールを入れることが目的になり、導入したことを成果とするケースが少なからずある」。デジタルマーケティング支援会社WACUL取締役の垣内勇威氏はこう指摘する。
「結果、最新のツールを入れたものの、機能が高度で運用業務が回らずに、ほとんど利用されなくなる。導入目的を明確化せず、ツールの選定から始めてしまうと失敗につながりやすい」と垣内氏は続ける。ツールは使いこなして、業績の向上に貢献してこそ成果と呼べるはずだ。これはマーケティングツール導入失敗の典型例だという。せっかくマーケティングツールを導入したのに、宝の持ち腐れになり、かけたコストが無駄になる。導入する側としては、当然このような事態は避けたいところだろう。
そこで、ツール選定のコンサルティング業務に携わる専門家の意見を基に、選定の段階を「導入の検討」「比較・検討」「決定」という3つのフェーズに整理した。そのフェーズに沿って、11個のステップを経てツールを選定する。以下は、アンダーワークスがツール選定のコンサルティング業務に活用するフレームワークに、WACULの垣内氏が勧める「ツールを使用しない形でのマーケティング施策の実行」という工程を加えたものだ。順を追って説明していこう。
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