ホンダ ステップ ワゴン(車両価格:¥2,998,600/税込み~)
クルマ業界的に言うならば今年は「EVの年」である以上に間違いなく「ミニバンの年」だ。国内最量販兄弟車たるトヨタ・ノア&ヴォクシーが一新すると同時に、ガチ競合のホンダ・ステップ ワゴンと日産セレナもフルモデルチェンジするからである。
1月に発表され、最初の1ヵ月で実に7万台も受注した絶好調のノア&ヴォクシー。秋登場予定のセレナはさておき、5月27日発売のステップワゴンはどうなのか? 待望の公道試乗会に乗りこんだ。
今回で6世代目、元々5ナンバーから始まった箱型ミニバンでは元祖に当たるステップ ワゴン。注目ポイントは明確だ。ノア&ヴォクシーが先鞭を付けたワイルドなオラオラ顔にどう対抗するのか? サイズ感やエコなハイブリッドをどうブラッシュアップしてくるかだ。
見た目はスッキリ路線に
まず驚いたのは見た目、エクステリアだ。なんと競合に対抗するというより、正反対のスッキリ路線を強調してきている。
メッキグリルをイカつく大きくするのではなく、水平基調に逆によりスッキリ&クリーン化。特にシンプル顔の「AIR」グレードは本当に大丈夫なの? と思うほど押し出しは少ない。だが開発者の蟻坂篤史さんは言う。
「新型を作るに当たって、ウチがいくところって本当にそこ(オラオラ系デザイン)なのかなと思ったんです。なにより私好きじゃないんです、ああいうハデなテイストが」
もちろん個人的な趣味だけではないだろう。だが、今回のステップ ワゴンのデザインは明確に「時流に逆らって」きた。
ノア&ヴォクシーより完全にひと回り大きく
さらなるチャレンジはサイズ感である。前述通り、このクラスの基本は全長4.7m以下で全幅1.7mの5ナンバーボディー。しかし今やサイズによる明確な税金等の違いはなく、既にワイドボディー採用の箱型ミニバンも多い。
そこで新型はなんと全長が4.8mか4.83m、全幅1.75mという、長さも幅も格段アップの新ボディーを採用してきたのだ。
これは強敵ノア&ヴォクシーより完全にひと回り大きい。新型ノアヴォクも拡大したが全長4.7mを超えなかった上、全幅5ナンバー超えだが3cmオーバーの1.73m。特に長さは10cm違う。実は別のクラスになった? と言えるほど両者はサイズ戦略が異なる。
さらに面白いのはパワートレーン戦略だ。選択肢は2種類で従来通りの2ℓガソリンハイブリッドと、1.5ℓガソリンターボの2本立て。だがどちらも基本パワースペックに変更はなく、前者モーターのパワー&トルクが184ps&315Nm、後者エンジンが150ps&203Nmで全く変わりがない。逆に燃費スペックはボディーが拡大したぶん一部落ちているほど。
乗り心地の上質感、加速のスッキリ感でもノアヴォク超え
だが、まずハイブリッドのAIRに乗って驚いた。乗り心地の上質感、加速のスッキリ感で旧型を完全に上回っているのはもちろん、ノア&ヴォクシーをも超えている部分がある。さらに開発者の蟻坂さんはこうも言った。
「基本的に骨格をキャリーオーバー(流用)しておりますから、そう簡単にボディーを軽くできません。軽く(燃費を良く)できない以上、他で質を上げていかない限り、商品の魅力がなくなっちゃいますから」
そうして新型ステップ ワゴンの「燃費より味!」重視の新戦略が始まったのである。(後編に続く)
からの記事と詳細 ( 「燃費より味!」に挑んだ新型ステップ ワゴンは宿敵ノア&ヴォクシーに勝てるのか?(前編) - 日刊ゲンダイDIGITAL )
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