
北海道・知床半島沖で小型観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)が沈没した事故は1日で発生から100日となり、14人が死亡、12人の行方が今も分かっていない。行方不明者の一人で、福岡県久留米市出身の小柳
宝大さんは3人きょうだいの長男で、名前には「私たちの大きな宝物」との両親の思いが込められた。高校卒業後に外食チェーン「リンガーハット」に入社し、約5年前からカンボジアの首都プノンペンで店舗責任者に。カメラが趣味で、「周りの人を優先し、他人の喜びを自分の喜びにするような性格」という。
「遊覧船で知床半島の絶景を見てくる! 写真たくさん撮ってくるね」。一時帰国した宝大さんから事故当日の4月23日朝、LINE(ライン)でメッセージが届いた。「行ってらっしゃい」と返し、それが最後のやりとりとなった。
一緒に乗船したとみられる会社の上司だった福岡県筑後市の男性(51)の遺体が数日後に見つかり、観光船も海底で発見された。その後、船体の中からリュックサックが見つかり、旅行する際などに背負っていた宝大さんのリュックだと分かった。
リュックは船体が引き揚げられた後、海上保安庁の職員から6月1日に現地で受け取った。入っていたのは、カメラのレンズや財布、メモ帳など宝大さんの愛用品ばかり。一つずつ包装された袋を開封すると、海水で湿っていた。「冷たかっただろうな」。宿泊先に戻って部屋に広げて乾かした。「息子の体の一部のように感じられ、うれしかった」と複雑な思いを振り返った。
父親は「生きて帰ってくるのが絶望的だとしても、手がかりがほしい」と乗客の家族向けに国が毎週開いているオンライン説明会には必ず出席している。分かってきたのは、運航会社「知床遊覧船」のずさんな安全管理体制だけでなく、国や検査機関のチェック機能の不備だ。
「こうした事故が二度と起きないよう国は、再発防止に取り組んでほしい。われわれのような犠牲は出してもらいたくない」。事故の教訓が生かされることを願っている。
からの記事と詳細 ( 戻った所持品、息子待つ…知床事故100日 久留米の家族「どんな姿でも帰ってきて」 - 読売新聞オンライン )
https://ift.tt/8CuP3pv
No comments:
Post a Comment