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Sunday, January 29, 2023

新規事業をカタチにする9つのステップ - 日経ビジネスオンライン

andisendi.blogspot.com

新規事業創出の専門家である守屋実氏の連載第3回では、アイデアをどう新規事業のカタチにするかを取り上げます。独自のビジネスモデルフォーマットを活用し、それを「一筆書きの高速回転」させることで新規事業の確度を高める──。その具体的なメソッドをご紹介します。

 世の中には、「ビジネスモデルフォーマット」があふれています。そして、そのどれもが作者の経験や研究から導き出された素晴らしいものです。なので、最終的には自分に合ったものをお使いいただければいいと思っていますが、今回は、僕が日ごろ活用しているビジネスモデルフォーマットをご紹介したいと思います。

①満たされていない顧客のニーズを探る
 昭和のモノ不足の時代であれば、大量に作ってそれをスムーズに届ければ、そこそこ売れました。しかし、今は昭和どころか、平成も終わって、すでに令和です。ありとあらゆる商品やサービスが、消費能力以上に供給されている「モノ余り時代」になっています。だから、顧客は常に「売り込みの圧力」にさらされていて、結果、「間に合ってます」という姿勢で市場を眺めているのです。そういった市場環境では、「この人が欲しがっているものは何か」という顧客のニーズを起点に事業をつくることが、ことさら必要となっています。

②顧客のニーズを満たす商品・サービスを考える
 ①が定まれば②も決まることになります。他のターゲットは捨てて顧客を絞り込み、その顧客のニーズを満たす商品・サービスを検討します。この「絞り込む」は、とっても大事です。顧客を曖昧にすると、ニーズも曖昧になり、商品もサービスも曖昧になります。ただでさえ「間に合ってます」と思っているところに、ぼんやりとした商品やサービスを届けても、やはり「間に合ってます」と言われてしまうことは、試すまでもなく明白だからです。

③なぜ①がこれまで満たされないまま放置されてきたのかを考える
 「顧客のニーズを満たすサービスを考えついた!」と思ったとしても、少し立ち止まってください。簡単に思い付くものならば、誰かがとうにつくって提供しているはずだからです。

 ここでは、「満たされていない顧客のニーズ」が「本当に満たされていないのか」を確認してください。「ネットで調べたら課題アリという調査結果がありました」「顧客に『あったらいいですか?』と聞いたら、『いい』と言ってました」といった解像度の低い回答を真に受けてスタートしてしまうことが往々にしてあるからです。「あったらいいね」と「お金を払うか」は別問題です。ましてや、自説を補強するような二次情報を拾っただけなど、もってのほかです。本当にお金を払うのか顧客の本音に迫り、カネのにおいに対する嗅覚を研ぎ澄まして、「ビジネスとして成立するニーズなのか」を確認する必要があるのです。

④どうしてこれまで②が提供されてこなかったのかを考える
 ③のステップと近い視点ですが、「その課題解決の方法が提供されてこなかった理由」も併せて考える必要があります。例えば、製造のハードルが高く、多くの顧客が購入できる価格帯にはなり得ないということかもしれませんし、実は規制の対象であったり、商習慣や既得権益が強すぎたりする、といったことも考えられます。ありとあらゆるものが過剰に供給されている状況の中で、なぜ、いまだに供給されずに残っているのか、その理由の確認は欠かせません。

 事業計画の「詰め」が、「仮説した①と②の補強作業」に終始してしまい、「③と④をなおざりにしてしまう」ことが散見されます。そして、多くの場合、望まぬ結果に至っています。「本当に成立するのか」は、机上で済ませることなく、「最小単位での実証実験で、事実の確認」をすることをお勧めします。

⑤商品やサービスを顧客にとって便利な方法で届ける
 商品やサービスを顧客にとって便利な方法で届けることを検討するステップです。ここでよく「この方が効率がいい、費用がかからない」などと主語が「顧客」ではなく、「自社」になってしまっているケースがあります。しかし、それでは継続して選ばれる商品・サービスにはなり得ません。

⑥商品やサービスを、より良くするためのフィードバックをもらい改善する
 顧客の都合に合わせて商品・サービスを届けたら、必ず改善点や新たなニーズを確認します。事業計画には「顧客の声に耳を傾けて商品・サービスの改善を図る」という言葉が書かれていることは多いですが、具体的に、「どうやってその声を集めるか」、そして「どう反映していくのか」は、書かれていなかったりします。ましてや、そのための経費が計上されていなかったりします。それでは単なるスローガンとなってしまいます。

⑦新たな顧客のニーズを探る
⑧そのニーズを満たす商品・サービスを考える

 ①から⑥のステップをきちんと回すと、おのずと⑦と⑧にたどり着きます。このとき、気を付けなければならないことがあります。最初の商品・サービスは、顧客のニーズの中で最も強い「中心ニーズ」から生まれているはずですが、後になればなるほど、「周辺ニーズ」となり、顧客にとっての価値が小さくなる傾向があります。ですから、安易に広げるのではなく、顧客にとっての価値にこだわり、懸命に商品・サービスを考える必要があるのです。

⑨他社との競争に備える
 「他社にマネされない事業を!」という方がいますが、残念ながらそんなものはほぼありません。もうけが出始め、市場で存在感が増してきた事業は、必ず追随されます。そこで大事なことは、「追随されることを前提とした備え」を構築しておくことです。先攻の優位性を担保するために大事なことは、⑤と⑥を徹底して行うことです。今年追いかけてきた競合を来年さらに引き離すために、強烈に⑤と⑥を回すのです。そうすることで、競合がどんどん入ってくることで市場が広がりつつも、結局A社さんのサービスが一番いいよねと選ばれるという、「裾野が広がることで頂が高くなる」好循環を獲得できるのです。

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