アメリカのバイデン大統領は「プレジデンツデー」をキーウで迎えた後、ポーランドのワルシャワで演説。「アメリカはウクライナを見捨てない」という強力なメッセージを残すことに成功した(写真:ブルームバーグ)
先日、思い切ってコロナ後の初出張でアメリカの東海岸へ行ってきた。2月12日にワシントンDCに入り、ニューヨークに立ち寄って1週間で帰ってくるという弾丸出張であったが、やっぱり久しぶりの海外はいいものだ。「お久しぶりね」の方々に会うことができたし、いくら経済データを見ていても、現地を訪れて初めてわかることはやはり少なくなかった。
表面的には回復でも不動産は苦戦、物価上昇は想定通り
マンハッタンを訪れてみると、フィフス・アベニューからブロードウェイまでは賑わいが戻ってきていて、「もはやコロナではない」と言わんばかりである。
夜分にタイムズスクエアを訪れると、若者たちが大勢集まっていて「失われた青春」を取り戻そうとしているかのようであった。
ところが、そこから少し離れたマジソンやレキシントンアベニューへ行くと、途端に閉店している店が多くなる。筆者が宿泊したパークアベニューの北野ホテルでは、”Jazz”と”Hakubai”という2つのレストランが休業状態で、人手不足の影響も深刻なようであった。昨年秋からは観光客が戻ってきて、表面的には繁栄を取り戻しているように見えるのだけれども、いかにもニューヨークは「病み上がり」状態なのである。
多少は勝手知ったるワシントンDCでも、「空き室」を表示する不動産広告が目立っていた。WFH(Work From Home=リモートワークのことをアメリカではこう呼ぶ)が普及してオフィス需要が減り、金利も上がったから不動産業界は苦労している様子。もっとも現地では、「好調だったトランプ時代に、調子に乗ってオフィスビルを建てすぎたからだ」との指摘もあるようだ。
ともあれ日本から見ていると、「アメリカ人はもうマスクもしていないし、すっかりコロナ前の生活を取り戻しているんだろう」と思えてくるのだが、そんなに簡単な話ではないのである。言われている通り物価上昇も進んでいて、なによりJFK空港からマンハッタンまでのタクシー代が108ドル(支払いはカード払いがデフォルトで、チップは20%、25%、30%から三択方式)というのには恐れ入ったぞ。
ついでに言えば、10時間を超えるフライトなんてここ数年はすっかり忘れていたから、時差で体調は狂いっ放し。2時間寝るたびに目が覚める、という不安定な状態で肉体的にはなかなかにハードな1週間であった。
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