変化の激しい時代では人的資本の価値向上に「変化対応力」が欠かせない。従業員が主体的に学ぶセルフ・リスキリングを促す環境づくりがカギを握る。
人的資本経営の実践に必要な現場マネジメントには、(1)人材の捉え方、(2)人材を活かす仕組み、(3)人材への働きかけ─の3つのステップがあります。今回は人材への働きかけに関わる「セルフ・リスキリングの促進」について解説します。セルフ・リスキリングとは、職場を離れた場での学習や内省を指します。
従業員と企業にかい離
人的資本の価値向上のために重要なのは「変化対応力」を高めることだと、私たちは考えています。
■ 1年間での仕事の自己啓発の実施状況(単一回答、回答数=10459)
出所:リクルート「人的資本経営に関する働く人の意識調査」(2022)
変化が激しい時代、企業は新たな戦略を生み出し、機動的に推進していかなければなりません。戦略の転換に応じて組織体制や業務が連続的に変化しても、従業員が変化にコミットし、対応していけるかどうか。戦略実現の土台となるのが、企業・個人の「変化対応力」といえるでしょう。
変化対応力を高めるには、いかにして個人が主体的に学ぶ環境、「自律化」が促される環境をつくるかがポイントになります。
しかしながら、多くの人は「学んでいない」現実があります。リクルートが2022年に実施した個人調査では、「この1年間で、仕事に関する自己啓発(仕事に関する能力開発や教育訓練)を行いましたか」という問いに対し、「行っていない」という回答が8割を超えました。
とはいえ学びの重要性は認識されています。下の図は、働く個人に対し、「セルフ・リスキリングの促進」に関する各項目の「重要性の実感」および「勤務先企業の実施状況」を調査した結果です。
「企業は従業員の既存の知識・スキルのアップデートを奨励している」という項目に対し、5割以上の人が「重要である」と回答していますが、「勤務先企業がそれを実施している」と答えた人は3割程度にとどまっています。それ以外にも、「自社以外でも通用するスキルを学ぶ機会の提供」「今後どのような仕事に携わっていくかのすり合わせ」「教育プログラムの用意」など、多くの項目において従業員の希望と企業の取り組みがかい離している状況が見てとれます。
多くの人が学習や内省の重要性を感じているものの、実際に学んでいる人が少ない実情を受け止め、企業は従業員が学べる環境を整えなくてはなりません。「キャリア相談」「副業・兼業の奨励」といった制度を設ける企業は増えていますが、各制度をきっかけとする学びをどのようにデザインするかがカギになります。
からの記事と詳細 ( 現場マネジメントの3ステップ(5) | 日経ESG - 日経BP )
https://ift.tt/dgA1PUR
No comments:
Post a Comment