2023年1-3月の小売販売額は約20%増と好調、「業界平均以上の増収」達成へ
中国のスポーツ用品メーカー、特歩国際の最新業務統計によると、2023年1-3月期の小売販売額は前年同期比約20%増と、BOCIの予想を小幅に上回った。1-2月に10%台半ばの伸びを確保した後、3月には35%増に加速。「業界平均や競合他社を上回る小売販売伸び率を達成する」という2023年の目標の達成に向け、好スタートを切った。経営陣は補充用受注の予想以上の堅調を背景に、中核ブランドの上期の売り上げ目標を「前年並み」(3月22日の決算発表時に公表)から「前年比5-10%増」に上方修正するなど、2023年の業績に対して楽観的。BOCIは株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。
経営陣はオフラインの実店舗の客足回復とキッズ向け製品ラインの急成長が1-3月期の小売販売額の伸びをけん引したと指摘(キッズ用は前年同期比30%超の伸び)。製品補充用の受注の好調を理由に、上期の売り上げ目標を前年同期比5-10%増に上方修正した。4月に入ってからも好調が続いており、4-6月には小売販売伸び率がさらに加速する見通しという。流通在庫は1-3月に5カ月弱と、前四半期の5.5カ月から改善しており、2023年末には約4カ月という正常レベルを回復する見通しとなった。また、1-3月の小売りレベルの値引き率は25-30%と、前四半期の30%からやや縮小しており、経営陣は4-6月にはさらに改善するとみる。一方で、マラソン大会のスポンサーシップやインフルエンサーの起用、ソーシャルメディアマーケティングなどに振り向ける広告販促費(A&P)は増大する見込み。低利益率のキッズラインの比重拡大も採算性に影響する可能性があるが、それでも経営陣は前年実績の低さなどから、2023年通期の純利益率の改善に自信を見せている。
一方、経営陣は新たなブランドの立ち上げを通じたマルチブランド戦略を進めている。うち米ランニングブランド「サッカニー(Saucony)」の小売販売額は2023年1-3月期に前年比100%増を達成しており、2023年通期決算では採算ラインに乗る見込み。年内に30-50店舗の新規出店(うち半数はフランチャイズ店)を計画しているという。また、米「K・Swiss」ブランドに関しては1-3月期のパフォーマンスが予想以上だったとして、向こう数年で投資を強化する方針。2022年末の72店舗から、年内に倍増させるとしている。経営陣はまた、2022年本決算の発表会見で、アスレジャー(スポーツウエアを普段着に取り入れたスタイル)ブランド全体の営業損失を1億5,000万元以下に抑えるよう努力する方針を示した。
BOCIは2023-25年の予想純利益を維持し、2023年予想PER(株価収益率)24倍をベースとする目標株価を据え置いた。レーティング面の潜在的なリスク要因としては、マルチブランド戦略が成功しない可能性、中核ブランドの小売りレベルの在庫販売率が後退する可能性、ブランドエクイティ(資産価値)が後退する可能性を挙げている。
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