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Thursday, May 4, 2023

「元気で帰ってきてね~」 かまいしこども園児が甲子川にサケの ... - 縁とらんす

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かまいしこども園の年長児によるサケの稚魚の放流=甲子川

 
 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児80人)の年長児が4月24日、同市を流れる甲子川にサケの稚魚を放流した。地元の海や水産業に親しみ、郷土愛を育む学習の一環。園児たちは大きく成長したサケが4年後に戻ってくることを期待し、大海原に旅立つ“赤ちゃんサケ”を見送った。
 
 同園は海洋教育パイオニアスクールプログラム(笹川平和財団海洋政策研究所など主催)の助成を受け、2021年度から年長児がサケの学習に取り組む。本年度の学習のスタートは稚魚の放流。千鳥町の河川敷に到着した園児18人は始めに、同学習の講師を務める岩手大三陸水産研究センター特任専門職員の齋藤孝信さんから、放流したサケがどこで大きくなり食卓まで届くかを学んだ。齋藤さんは「川を下ったサケは北の寒い海をぐるぐる回り、餌をいっぱい食べて大きくなってから4年後に戻ってきます。みんなが小学3年生になる秋ごろです」と教えた。
 
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講師の齋藤孝信さんからサケの成長について学ぶ

 
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今年は例年より大きく育てた稚魚(左下写真)を放流した

 
 園児たちは釜石湾漁協甲子川さけ人工ふ化場から運ばれた稚魚を小さなバケツに分けてもらい、「元気に帰ってきてねー」などと声をかけながら水中に放した。稚魚は甲子川など地元河川に戻ってきたサケから採卵し受精、ふ化させたもの。体長7~8センチ、重さ3グラムに成長した約5000匹を放流した。回帰率を高めるため、今年は県全体の指針に沿って例年の倍以上大きくして放流している。
 
 千葉菫ちゃん(5)は稚魚の様子を「手を振っている(さよならしている)みたいな子やけんかしている子もいた」と表現。サケを食べるのも「大好き」といい、「うろこが虹色に光るような、かわいい大きなサケになってほしい」と成長を楽しみにした。
 
川の中で元気に泳ぐサケの稚魚を見守る園児たち

川の中で元気に泳ぐサケの稚魚を見守る園児たち

 
 同ふ化場の佐々木有賢場長によると、甲子川で放す稚魚には独自の耳石標識をつけており、漁獲した時に“生まれ故郷”が分かるようになっているという。「地元で放したサケがちゃんと帰ってくると知ることで、地域の川をきれいにしようという意識も生まれる。生き物の命を大事にいただくという姿勢も学んでくれたら」と佐々木場長。
 
 近年、サケの不漁は深刻。甲子川に遡上するサケはピーク時には1シーズン約4万7000匹に達したが、震災以降減少。佐々木場長は「平均で約3万匹はとれていたが、ここ2年は10分の1以下にまで減っている」と厳しい状況を明かす。県内のサケふ化場は現在、4カ所に集約。釜石、大槌地域の河川(片岸、甲子、鵜住居、大槌)でとれたサケは一度、甲子川ふ化場に集めて採卵。稚魚にして、各河川から放流する形を取っているという。
 
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無事に放流の役目を果たし、満面の笑顔を広げた

 
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最後に園児の代表が甲子川ふ化場の職員にお礼のメッセージカードを手渡した

 
 同園のサケ学習は全3回の予定で、残る2回はサケを漁獲する定置網漁や魚市場の学習、雌サケを解体して給食で食べる体験を計画する。市内では、釜石小と釜石高も同プログラムの助成を受けて海に関する学習を行う予定。同園と両校の採択は3年連続。

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