◆第105回全国高校野球選手権記念大会第11日 ▽3回戦 神村学園10―4北海(17日・甲子園)
南北海道代表の北海は4―10で神村学園(鹿児島)に敗れ、7年ぶりの8強進出を逃した。5点差の5回に3番・熊谷陽輝一塁手(3年)が今夏6本目となる本塁打を放ち追撃開始。地方大会から8戦連続2ケタ安打の打線が一時3点差まで迫ったが、5回途中から2番手で登板した最速146キロ左腕・黒木陽琉(3年)に無安打無得点に抑えられ、反撃ムードを断ち切られた。
打った瞬間、サク越えを確信した。5点ビハインドで迎えた5回1死一塁。北海・熊谷は真ん中の直球を一振りで仕留めた。「甲子園でも打ちます」。宣言通りの一発はきれいな放物線を描いて左中間スタンドに着弾。大歓声を浴びながらダイヤモンドを一周した主砲は右拳を何度も突き上げた。「打った感触が(北海道の球場と)全然違った」。甲子園初アーチは高校通算33号、今夏6本目の本塁打となった。
1回にも適時二塁打を放つなど2安打3打点。今夏逆転勝利5度の打線を支えた背番号3に対し、平川敦監督(52)は「それまでは長打というよりチームバッティングをしていたので、あのタイミングで一本打ったというのは彼の力」と称賛した。
昨秋は「1」を背負い、絶対的エースとしてマウンドに立ち続けたが、高校野球ラストイヤーは険しい船出だった。3月に右肘を痛め、参加予定だったU18日本代表候補選手強化合宿も辞退。春から背番号も「3」に変わった。
負傷後は「練習に身が入らない」時期もあったと言う。それでも、1年夏から甲子園を経験してきた大黒柱として下を向き続けるわけにはいかなかった。「悪いだけではなく、このけがにも意味があると話をしてきました。打てているのはラッキーではなく、前向きになって練習してきた賜物(たまもの)です」と父・英樹さん(47)。投げられない期間にバットを振り込み打撃が覚醒。今夏は32打数22安打と大暴れした。
北海道勢初の2戦連続サヨナラ勝ちなど、確かな爪痕を残した自身2度目の大舞台。試合終了直後は涙を流すことなく相手の校歌を聞き、電光掲示板を見つめた。右肘負傷の影響もあり進路は大学進学に絞っており「まだ上には上がいて、自分には次のステップがある。4年後にプロ野球選手になって甲子園に戻ってきたい」。投手か野手か二刀流か。無限大の可能性を秘めた熊谷は、さらに大きくなってこの場所に帰ってくる。
(島山 知房)
史上4校目の3試合連続2ケタ得点を挙げた神村学園打線の勢いを止めることができなかった。
2戦連続で先発マウンドに上がった岡田彗斗(3年)は1回に3者連続適時打を浴びて4点を失うと、4回には2死走者なしから3点を奪われ4回7失点(自責3)で降板。熊谷の2ランで3点差に迫った直後の6回は、2死一、三塁からの重盗などで追加点を許した。
春から名門のエースナンバーを背負った岡田は「状態は悪くなかったけど、やっぱり相手の打力が上だった。高校で学んだことを生かして、結果プロになって、北海道を盛り上げる選手になりたい」と前を向いた。
★北海・小保内貴堂(きどう)外野手(3年=公式戦初本塁打を含む3戦8打数4安打)「思いもしなかった結果が出た。応援や仲間の力は大きいというのを実感した大会だった」
★北海・今北孝晟主将(3年=逆転で甲子園2勝を挙げ)「後ろを信じて、仲間を信じて、最後まで戦う姿勢を見せられた」
〇…北海の主将として2015年夏の甲子園に出場し、開幕戦の鹿児島実戦で本塁打を放った鎌仲純平さん(26)が声援を送った。国学院大を経て、社会人野球のSUBARUでプレー。昨季限りで現役を引退した。8年前の夏は4―18で大敗しており「同じ鹿児島勢なので勝ってほしい」と今大会初めて現地観戦。「スタイルを変えないのが伝統校らしくていい。目立った選手はいないけれど、それで勝てるんだからすごい」とうなずいていた。
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