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Monday, December 25, 2023

ビジョンとは?ビジネスにおける意味や必要性~策定ステップまで | 『日本の人事部』プロフェッショナルコラム - 日本の人事部

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ビジョンとは?ビジネスにおける意味や必要性~策定ステップまで解説


―ビジネスにおいてビジョンが持つ意味とは?

ビジネスをしているうえで、他社や顧客、ステークホルダーなどから、ビジョンについて尋ねられるということもあるのではないでしょうか。
会社のビジネスが単に目先の利益を追うものなのか、それとも持続性や将来性を求めているものなのかは、従業員や顧客の関心を集めます。
今回の記事では、ビジネスにおいてビジョンが持つ意味や、ビジョン策定のポイントについて解説します。


―ビジョンとはビジネスの将来像

「ビジョン(vision)」という言葉には将来を見通すという意味があり、将来像や展望、構想などを表します。ビジネスにおけるビジョンという言葉が持つ意味は、将来的にビジネスをどのようなものにするかという将来像のことです。

従業員や顧客は言語化されたビジョンステートメントからビジョンを認識します。こうなりたいという漠然とした気持ちではなく、実現するための解決策を踏まえて課題を設定して、ビジネスの方向性を指し示しましょう。

目標との違い

目標とは、短期中期的なゴールを、一般的には数値的に表したもののことです。
努力次第で達成可能な到達点が設定され、達成するための手段も明確な場合が多いといえます。

例えば「営業に人材を投入して来期末までに売上を1.5倍にする」というようなものは、目標だといえるでしょう。

一方、ビジョンは5年、10年というように長期の展望で、ビジョンを達成するためにはさまざまな短期の目標の達成が必要です。ビジョンに数値が設定されるケースもありますが、多くは社会におけるビジネスの在り方・立ち位置を明確にする意味合いをもちます。

ビジョンの短期・長期の違い

ビジョンは長期的な展望を表します。ただし、期間が長いと課題への取り組みが漠然としやすいため、足がかりとして中期や短期のビジョンを設定することが一般的です。

短期と長期のビジョンの違いについて、以下に例を示します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【短期ビジョン】
期間:1年(中期は 3〜5年)
位置付け:長期への足がかり・通過点
実現性:実現性があり具体性もある

【長期ビジョン】
期間:5年以上
位置付け:最終的な到達点
実現性:実現性はあるが理想を含む。短期・中期の結果を踏まえて修正される場合がある
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


―ビジネスにおいてビジョンが持つ意味

ビジネスにおけるビジョンの意味は、その必要性と効果にあります。それぞれについて確認しましょう。

ビジョンの必要性

ビジョンはビジネスを発展させるために必要不可欠です。

売上や収益の向上は、ビジネスがより広く受け入れられていて、顧客の期待や信頼がある証といえます。顧客の期待・信頼を集めて持続的に成長するには、ビジョンを明確にしてビジネスのあるべき姿、方向性を示す必要があります。ビジョンがステークホルダーに共有・理解されると、それぞれの行動がビジョンに向かうようになるでしょう。

ビジョンがもたらす効果

ビジョンが関係者に浸透することで、次のような効果が生まれます。

●一貫した意思決定が可能となる
●従業員個人のビジョンが持てる
●ステークホルダーからの支持・期待・支援が得られる
●顧客からの信頼・期待が得られる
●ブランドが強化される

ビジョンは関係者に共有され、それぞれが自分にとって身近なものごととして捉えることで浸透します。ビジネスの意義やステークホルダーにとってのベネフィットが認識されるほど、ビジョンの効果は高まるといえるでしょう。


―ビジネスにおけるミッション・ビジョン・バリュー

ビジネスの理念(経営理念)を戦略として把握するためには、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)のフレームワークにしたがって、概念を言語化することが重要です。

ビジネスの意義や使命・方向性・価値を言葉で表現するためには、MVVの観点からのアプローチが求められます。MVVの意味は以下の通りです。

ミッション(Mission):使命・意義
ビジョン(Vision):将来像・方向性
バリュー(Value):価値(価値観)

ビジョンはMVVの一つであり、ビジネスの理念を構成する要素として欠かせない概念です。


―ビジョンを策定するステップ

ビジョンを策定する際は、ミッション・ビジョン・バリューを一体的に考えることが重要です。
始めにビジネスの価値(バリュー)を明確にし、価値を軸として将来の方向性(ビジョン)を定めます。
その後、そこに行き着くための在り方(ミッション)を定めるという流れで、ビジョンを策定します。

ビジネスの価値を明確にする

最初にビジョン策定の基本として押さえるべき価値を明確にします。これは顧客に提供している価値や顧客と共有している価値観です。

価値は一朝一夕に高まるものではなく、長い期間を通して培われるものです。ビジネスを立ち上げた原点に立ち返ったり、これまでの経緯を確認したりして、本質的な価値を再認識しましょう。
その価値を将来に向けてどのように増大させ、将来的にどのような価値を顧客やステークホルダーにもたらすか、という点を定義する必要があります。

将来のビジネス環境を想定する

競合他社の動きや新技術の動向、法的な規制あるいは緩和など、ビジネスを取り巻く環境の変化を捉えて分析して、将来的な市場の想定を行います。法令の施行をはじめとした時期がはっきりしているものは、市場でどのような変化が生じるかを具体性を持って検討しましょう。

また、現時点で顧客が気づいていない潜在ニーズを探り出し、将来の商品・サービスで新たな市場を作り出せれば市場をリードできます。

将来におけるビジネスの位置付けを定義する

市場に対する現在の自社ビジネスのポジションは、市場が変化すればすぐに変わります。
自社ビジネスの価値と市場での位置付け、顧客のニーズがどのように変化をするかを予測し、短期から長期に至るまでのロードマップに落とし込んで検討する必要があります。

その前提として、自社ビジネスの価値を正確に把握しておくことが重要です。


―ビジョンに意味を持たせるポイント

ビジョン策定の動機は経営者にありますが、ビジョンが実現するか否かのカギは従業員にあるといってよいでしょう。ビジョンが従業員に共有・参照・共感されて初めて、ビジョンが意味を持ちます。ここからは、ビジョンに意味を持たせるためのポイントを2つ紹介します。

ビジョン策定に社員が参加する

ビジョン策定において、従業員の関与は欠かせません。基本的には、ビジョンは経営者がリードするものです。しかし従業員や株主、取引先が共感できないビジョンを打ち立ててしまうと危ういといえます。

ビジョン(あるいはMVV)の策定のためにプロジェクトを立ち上げ、関連する部署それぞれからメンバーを集めます。メンバーや管理職を対象としたワークショップを開いて、ディスカッションを行う場を設けることが重要です。策定メンバーはそれぞれの部署でも独自にミーティングを開いて、話し合うようにしましょう。

ビジョンを適切なタイミングで示す

策定されたビジョンは、従業員を始めとして株主や取引先などのステークホルダーに周知して浸透を図ります。ビジョンを公開するタイミングは以下の通りです。

●社員研修(新入社員・中途社員・管理職)
●経営計画発表会
●株主総会
●年始行事
●年度初め

従業員や株主が今後の動向に注目するイベントであれば、ビジョンは効果的に伝わりやすいといえるでしょう。ビジョンステートメントだけでなく、経営者の思いを伝えるよい機会でもあります。
また、社内報や社内SNSなどを通じて、日常的に従業員がビジョンを参照可能な状態にしておくことも重要です。


―ビジョンを示すビジネスシーンの事例

近年は企業と社会との関わりが重視されるため、外部へ発信することの重要度が増しているといえます。

ビジネスシーンでビジョンを示せば、取引先など社外のステークホルダーや顧客、消費者に企業のアイデンティティを印象付ける効果が得られるでしょう。

コーポレートサイトやブランドサイトにビジョンを掲げ、商談会や展示会、ビジネスショー、企業説明会などのブースも積極的に活用します。そのほか、SNSや動画サイト、ウェビナーなどもビジョンを広く知ってもらう場として有効です。


―まとめ

ビジネスにおいてビジョンが持つ意味は大きいといえます。価値とともにビジョンを内外に示して、従業員や顧客、ステークホルダーからの共感と期待を集めてビジネスの持続性を高めましょう。
適切なビジョンを策定すると、企業の内部では意思決定が迅速化し、外部に対してはブランドイメージが向上します。ビジョンで得られるメリットを最大限活用することが重要です。


※本コラムは村上が、タナベコンサルティングの長期ビジョン・中期経営計画策定の情報サイトにて連載している記事を転載したものです。

【コンサルタント紹介】
株式会社タナベコンサルティング
取締役 ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
ストラテジー&ドメイン(東京)担当
村上 幸一

ベンチャーキャピタルにおいて投資先企業の戦略立案、マーケティング、フィージビリティ・スタディなど多角的な業務を経験後、当社に入社。豊富な経験をもとに、マーケティングを軸とした経営戦略の立案、ビジネスモデルの再設計、組織風土改革など、攻守のバランスを重視したコンサルティングを数多く手掛けている。高収益を誇る優秀企業の事例をもとにクライアントを指導し、絶大な信頼を得ている。中小企業診断士。

主な実績
・ライフスタイルメーカーの経営戦略構築支援(経常8%超の高収益体質へ変革、純資産比率は一桁から40%台へ向上)
・専門商社の成長戦略構築(増収増益基調の成長を実現し、同分野No.1ポジションを確立)
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・創業160年超の老舗中堅食品卸売業の中期経営計画策定・実行支援
・創業150年の老舗中堅酒類卸売中心のコングロマリット企業の中期経営計画策定・経営改革支援
・創業140年の老舗建設会社の経営改革支援

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