がんや心臓病、肥満・糖尿病といった生活習慣病など、あらゆる病の原因となる「糖質過多」。現代では、ほとんどの人が糖質を過剰に摂取していると言います。6000人以上の食生活改善を指導してきた麻生れいみ先生に、慢性的な疲れやむくみの改善、ダイエットにも効果的な糖質制限を続けるためのスタートダッシュを指導していただきましょう。 本稿は、麻生れいみ『長生き食事術 人生100年時代の「新・栄養学」入門』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
■3つのステップで食事の柱を作る
生涯現役でいるための食事の柱となるのは、糖質量のコントロールです。日本人は平均すると1日240gの糖質を摂っています。これを減らしていくのです。 コツは3つのステップに分けて行うこと。それは「導入期」 「減量期」 「維持期」という次の3つのステップです。 ステップ1 導入期(糖質を極力ゼロに近づける)まずは1週間、いけそうなら、さらに1週間 ステップ2 減量期(糖質1食当たり20 g以下、1日60 g以下)~3か月間 ステップ3 維持期(糖質1食当たり20 ~40 g+間食10 g以下、1日70~130g以下)
■ステップ1 導入期
導入期では、主食、甘いお菓子、甘い果物、イモ類といった糖質を極力断ってください。 ご飯もパンも食べないなんて無理……。初めはそう思い込んでいても、期間限定ですからやってみると案外簡単に糖質は断てます。 私のクライアントにも、「始める前は私には絶対できないと思っていたけれど、“案ずるより産むが易し”で結構できちゃうものですね」と明るい笑顔でおっしゃる方が大勢いらっしゃいます。 たった2週間で、人生100年時代を元気に生き抜く食生活の扉が開けるわけですから、スタートダッシュを決めてください。 糖質制限には、緩やかに始める方法もありますが、私はあえていきなり糖質を極力ゼロにするように指導しています。それには次のような理由があります。 ダイエットのような食事改善は、初めのうちほどモチベーション(やる気)が高いもの。しかしながら食事改善は魔法ではありませんから、効果が出るまでに少し時間がかかります。「ローマは一日にしてならず」というように、食事を変えても1日や2日で目に見える変化が出るものではありません。 この“時差”に気づかないと、「頑張っているのにまったく効果がない!」と誤解して、食事改善を諦めてドロップアウトする恐れがあります。 ですから、あえて緩やかに糖質制限を始めるのではなく、初めにガツンと糖質を断ってもらいます。 それによって血糖値スパイクが避けられて、血糖値が安定してくると、食後の眠気やイライラもなくなり、頭がクリアになります。疲れも抜けやすく、朝からアクティブに動けるようになってきます。 減量効果も抜群。糖質を断つと、代わりにエネルギー源として体脂肪が使われるようになります。それにより、贅肉がみるみる落ちてきます。 むくみも解消します。むくみとは、体内に余分な水分が溜まった状態。 糖質を1gためておくのに3倍の3gの水が必要です。糖質を断つと、体内にためられていたグリコーゲンという糖質が動員されるようになります。そこで糖質とくっついていた水が外れて体外に排出されるため、むくみが解消されるのです。 こうしたよい変化が感じられるので、「これからも頑張って糖質オフを続けよう」という前向きな気分になり、ドロップアウトのリスクが避けられます。 糖質を断とうとしても、野菜や大豆などにも糖質は含まれていますから、最低限の糖質は入ってきます。糖質を摂らないと頭が回らないというのは俗説。糖質を減らしても、頭もカラダもちゃんと働きます。 大事なのは、カロリーを必要以上に減らさないこと。糖質を減らした分、肉や魚などからのたんぱく質と脂質の摂取を増やし、ビタミンやミネラルや食物繊維が豊富な野菜、海藻類、キノコ類をたっぷり食べるようにしてください。 「糖質を摂らないと頭がぼーっとする」「糖質を減らすと力が出ない」とおっしゃる方もいますが、それは糖質と一緒にカロリーまで減らしているケースが大半です。
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June 25, 2020 at 09:00AM
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