読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンクの柴原洋氏だ。
Q.小学校高学年の子(右打ち)を持つ父です。息子の打撃を見ていると、ステップが弱々しいので強く踏み込むように言うと、今度は体ごと前に出されてしまい、なかなかバランスの良いスイングになりません。左足の着き方に問題があるように思うのですが、どのように指導するのが良いのでしょうか。正しいステップの仕方、適切なステップ幅など教えてください。(千葉県・39歳)
おそらく、この男の子は自分が一番強くバットを振れる(大人向けに言うと、インパクトで最も強くボールに力を伝えられる)ポイントが分かっていないのだと思います。だからお父さんの指示に素直に従って強く踏み込むように言われると、体が前に出されたりしてしまうのではないのでしょうか。 ポイントを探る方法としては、どんなに不格好でもいいですから、まずインパクトの瞬間の形を作らせて、指導する側の人間が芯の部分を手で持って押し返してやります。このときに、選手には(お子さん)負けないように力を込めて押すように指示してください。例えば、質問にあるように体ごと前に出されて腕だけの力で押すような形では押し返せませんし、軸足(右バッターならば右足)に体重を残し過ぎるフォームでも同じでしょう。このときに、体の中心、軸を意識するようにアドバイスをしてあげると、理想的な「一番力が発揮できる形」に近づいていくと思います。 これを繰り返して、“形”が分かってきたら、次は素振りに落とし込んでいくのですが、まずは一連の動きで振ってしまうのではなく、構える、足を上げる(ステップするほうの足を軸に寄せる)、踏み込む、スイングするを1つずつ区切って行い、インパクトの段階で先ほどの「一番力を発揮できる形」に持っていけるかを確認します。ある程度、形ができたら、そこからはいつもどおりにスイングをさせてみてください。素振りの次はスタンドティーで一番強く振れるポイントにボールを置いてあげれば、踏み込んで打つ形を固められると思います。
ステップ幅についても人それぞれですが、両足でしっかりスイングできる幅がベストで、「これくらい」というのが分かった段階で一度、その幅を測るのも良いと思います。ちなみに、私は普通の歩幅で3歩半(構えているときは2歩半)。その歩幅にラインを引いてあげて、そこに踏み出すようにすると最初の段階としては分かりやすいですよ。スイングをしているうちにズレてしまうことはプロの選手でもあることで、そうしたらまたポイントを確認する作業を取り入れてあげるのです。一度でもポイントを感じることができていれば、取り戻すのも早いですね。実際の打席ではピッチャーにタイミングを合わせることが大事なのですが、それを考えるのは形ができてからでいいと思います。 ●柴原洋(しばはら・ひろし) 1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。 『週刊ベースボール』2020年6月29日号&7月6日号(6月24日発売)より 写真=BBM
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July 17, 2020 at 09:01AM
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