第34回東京国際映画祭のジャパニーズ・アニメーション部門マスタークラス(シンポジウム)「仮面ライダーの未来へ」が3日、都内で開催され、金田治監督(ジャパンアクションエンタープライズ代表取締役社長)、脚本家の三条陸、プロデューサーの白倉伸一郎(東映株式会社取締役)が仮面ライダーの未来についてトークを繰り広げた。
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昭和、平成、令和と時代を駆け抜け、今年で生誕50周年を迎えた「仮面ライダー」シリーズ。長く続くことへの大変さを問われた白倉プロデューサーは、「続いているから試行錯誤ができるんですよね」と切り出すと、「平成ライダーの初期は、視聴者が昭和ライダーを観ていた人だったので、そことの違いを打ち出していました。これまでの敵と戦うという部分に、探偵だったりという別のモチーフを持ち込んで作っていきました」と作風の変化を述べる。
こうした作品づくりをするなか、近年は「スーパー戦隊シリーズほどではないですが、仮面ライダーも、例えば敵は組織であるとか、ライダーは何人ぐらいまでなど、いくつか決まったフォーマットが暗黙の了解である。そこも掘り尽くされた感があるので、いままさに新しいステップに進む時期にきていると思う。それもこれも、シリーズが続いているからこそチャレンジできるんです」と長く続くシリーズだからこその意義を強調する。
「仮面ライダー」50周年企画として、庵野秀明監督がメガホンを取る映画『シン・仮面ライダー』(2023年3月公開)、シリーズの金字塔「仮面ライダーBLACK」を『孤狼の血』の白石和彌監督がリメイクする「仮面ライダーBLACK SUN」(2022年春展開予定)、「仮面ライダーW」のその後を描くマンガ「風都探偵」のアニメ化(2022年夏配信開始)が発表されている。白倉プロデューサーは、いずれの企画も「シリーズの流れを変えたエポック的な作品で、周年記念として扱う題材という意味では最適です」と自信をのぞかせる。
また「仮面ライダーBLACK SUN」に白石監督を起用した理由について、白倉プロデューサーは「『BLACK』の世界観にふさわしい監督だと思いました。ご本人は、最初悩まれていたのですが、『仮面ライダーBLACK』をご覧になって『お話しも映像も、よく撮られましたね。これに挑戦できるのならば、ぜひやりたい』と言ってくださったんです」と明かしていた。
エポック的な作品と称された「仮面ライダーBLACK」でアクションを担当した金田監督は、「これまで仮面ライダーにはさまざまな色があったけれど、黒ずくめの仮面ライダーは初めてで、すごく格好いいなと思ったんです」と述懐。続けて、「エンディングでは、すごくスタイリッシュな大人のライダーにしたくて(監督の)小林義明に提案したんです」と裏話を披露すると、白倉プロデューサーも「もともと仮面ライダーというのは暗い感じだったのですが、子供向けに明るい感じにしていたんです。でも『仮面ライダーBLACK』のときに、暗くてもいいんじゃないか……ということで、原点回帰したんですよね」と金田監督の話に追随していた。
白倉プロデューサーは「仮面ライダーって変身ヒーローと言われ、『変身なのか仮面なのかはっきりしろ!』という突っ込みもありますが、そもそも、その部分をとっても答えが出ない存在。その意味で、可能性は無限にあるんです」と語ると、「隠しきれない矛盾が『仮面ライダー』の魅力。本当の未来はこれから始まるのかなと思っています」とさらなるシリーズの発展に思いを馳せていた。(磯部正和)
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