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Friday, January 28, 2022

サケカメラ2021-2022 札幌 川の野生を追う 0755DDチャンネル - nhk.or.jp

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札幌市を流れる豊平川に帰ってくるサケ。そのうちの7割は豊平川で生まれた野生のサケです。この「豊平川生まれのサケ」を増やすため、産卵環境を回復させるなどの活動が続いています。NHK北海道は、河原にカメラをすえつけ、豊平川のサケたちを追跡しています。
初回放送 2022年1月29日(土)

サケの産卵場所を増やす試み

カメラを取り付けた場所は、豊平川の中流域です。JR線の鉄橋のすぐ上流の左岸にある通称「JR水路」です。この水路は、もともと、安定した温度の湧水が湧き出す、サケが卵を産むには好都合な産卵環境でした。しかし、いつしか水路の入り口が埋まって水が流れなくなっていました。そこで、治水工事を担う建設会社の協力を得て、2017年と2019年に水路を掘削。人の力で回復させた「産卵環境」の一つです。

カムバックサーモン運動からワイルドサーモンプロジェクトへ

かつて「豊平川にサケを呼び戻したい」と一時絶滅したサケを復活させたのが、市民運動のカムバックサーモン運動。その運動をもう一歩進める形で、2013年にスタートしたのが、札幌ワイルドサーモンプロジェクト(SWSP)だ。
豊平川で生まれ豊平川に帰ってくるサケを増やそうと、学術関係者や行政担当者にとどまらず、いろいろな立場の人が集まって、市民運動として、さまざまな活動を行っている。JR鉄橋上流の産卵環境の回復もSWSPの提案に河川管理者や建設会社が協力する形で実現した。

固定カメラがとらえたサケたち

カメラは、サケが遡上する10月から翌年1月まで、日中を中心に10分おきに、静止画と10秒ずつの動画を撮影してきました。静止画は、「サケカメラ」のwebサイトで随時公開してきました。
一方の撮影された動画は8000カット。季節が移り変わる中、サケが遡上してくる様子が記録されていました。

豊平川のサケを知る

豊平川のサケは、札幌市豊平川さけ科学館と水産資源研究センターのSWSP調査チームが、産卵床とホッチャレを調べています。
調査はサケの遡上期に、2週間ごとに産卵床の位置や数を記録。遡上数を推定するためのデータになります。集めたホッチャレから耳石を回収します。

耳石はサケの頭にある組織で、卵の時に水温を変化させて標識をつけることができます。この耳石に、2本+2本のバンドがあれば、さけ科学館が放流した稚魚が大きくなったサケ、バンドがなければ自然産卵由来の野生のサケ、ということがわかります。

放流数を半分にしても…

豊平川では、これまでの調査で、戻ってくる親サケのうち、野生のものが7割であることがわかっています。
この野生のサケを増やすため、豊平川ではこれまで放流してきた稚魚の数を2016年から8万匹に減らしました。2015年以前の放流数20万匹の半分以下です。
稚魚が親になって帰ってくるのは2年から4年後。遡上してくる親のサケの数は、2016年以降、1000匹前後を推移していて、放流数を減らしたことによる減少は見られていません。

豊平川サケ科学館 学芸員 有賀望さん
「放流数を半分に減らしたから遡上数も半分に減ったというようなことではなく、遡上数は安定しています。サケは帰ってくる年数にはばらつきがあり、ここ数年でデータがそろって、分析できる段階になってきました」。

190万都市の野生たち

豊平川の川底に産み付けられ、砂利の中でふ化したサケの稚魚たちは、早い年には1月中旬にも川の中を泳ぎ始めます。稚魚が群れている場所はたいてい地下水が湧き出しているところ。本流の水温が3度しかなくても、そうした場所は9度程度。稚魚たちは水中のプランクトンを食べながら、海に降る時に備えます。
札幌の住宅街を流れる小さな川でも、じっくり観察すると、数は少なくとも、豊平川同様にその川で生まれたサケ稚魚たちの姿を確認できます。

野生はサケ稚魚だけではありません。5月に撮影することができたのが、ワカサギの大群。石狩湾から産卵のため、遡上してきます。7月には、サケの仲間のサクラマスが姿を見せました。どちらも、住宅街のすぐそばの流れを泳いでいました。

サクラマスにとって試練の猛暑

ただし、サクラマスにとって、2021年の夏は、試練の夏となりました。サケと違い、サクラマスは夏の間から川をのぼります。サクラマスが川に入った7月、北海道は各地で猛暑に見舞われ、19日の札幌の最高気温は35度まであがりました。

琴似発寒川では、死んだサクラマスがいくつか岸に流れ着いていました。水温を測ると早朝にも関わらず23度。高水温で死んだ可能性があります。

豊平川サケ科学館 有賀望さん
「琴似発寒川も湧き水があるので、おそらく川の中に冷たい部分があるはずなのですが、2021年は渇水と水温の上昇の影響が、それ以上になったのではないかと思います。
一方の豊平川の支流、山鼻川には発電用に使われた冷たい水が流れ込むので、いつもよりたくさんのサクラマスが集まっていた印象でした」

秋の産卵床の数も、豊平川とつながっている真駒内川では前年と同じ程度だったのに対して、琴似発寒川は前年の半分程度と、気象の影響を大きく受けたようです。

190万都市の川で、たくましく息づく野生も、大きな環境の変化からは、逃れられないようです。
有賀さんは—

「去年だけの特別な事例におわらず、これから毎年のようにこういう気象が続くと、いろいろな生き物に影響が出るのではないかと思います」。

サケカメラ2020−2021年のwebコンテンツもどうぞ。

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