特殊詐欺の一つで、「医療費が戻る」と偽ってATMで現金を振り込ませる還付金詐欺の被害が急増している。昨年は前年の2倍超の4千件に上り、被害額は45億円を超えた。特殊詐欺全体の認知件数は6・7%増の1万4461件(暫定値)、被害額は2・5%減の278億1千万円だった。警察庁が3日発表した。
特殊詐欺の認知件数は減少が続いていたが、4年ぶりに増加に転じた。このうち還付金詐欺が27・7%を占め、全体を押し上げた。
どのような手口か。
東京都杉並区の70代男性宅の固定電話に、「区役所職員」を名乗る男から連絡があったのは昨年12月下旬の夕方のことだった。
「医療費を還付する期日が迫っている。書類は届いていませんか」
書類はなかったが、男性は持病で高額の薬を服用していたため、「その医療費が戻ってくるのかな」と思い込んだ。男は「書類がなくても手続きはできる。手順について銀行のサポートセンターから電話がある」と説明。その後、銀行のサポートセンターを名乗る電話があり、「残高50万円を超えるキャッシュカードが必要」「ATMへ行ってください。着いたら手順を説明する」と言われ、電話番号を伝えられた。
男性は銀行のATMコーナーに赴き、伝えられた番号に携帯電話で連絡。すると、相手は「指示通りに操作してください」と話した。その通りにATMを操作し、翌日通帳に記帳すると計93万円余を2回に分けて振り込んでいたことがわかった。ここで初めて被害に気づいたという。
警視庁によると、男性はATMを操作している時に違和感を持ったが、「還付の期日が迫っていると言われ慌てた」と語ったという。「夫婦で生活するための大事なお金だった。だまし取った犯人を許せない」と話しているという。
還付金詐欺は2006年に初めて確認された手口で、ピークの08年には47億4千万円の被害が確認された。その後、被害額は大幅に減ったが、16年は42億6千万円に増え、昨年はこの額も超えた。
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犯行グループが昨年使った文言をみると、「医療費」「健康保険・社会保険」を持ち出すケースが約9割を占めた。
コロナ禍で医療や社会保険への関心が高まり、犯行グループがそれに乗じた可能性があると警察庁はみる。
特殊詐欺の中でも、親族や警…
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