4月のジョージア州オーガスタは1日が長い。それは僕たちにとって長時間の撮影を意味する。日の出のハレーションとともにシャッターを切り、日没後、画像にノイズがはしり始める頃にレンズに蓋をする。全身を支配する乳酸との戦いでもある。
しかし光と影をレンズに通して表現するフォトグラファーにとって、オーガスタナショナルでの1日はまさに光陰矢の如し。あっという間だ。朝もやのオナラリースタートで目を覚まし、西日のグリーンジャケットで帰路に着く。あっという間だ。はやる気持ちを抑えながらコースに向かった練習日の日曜、そして新たなチャンピオンがパートナーと抱き合うもう一つの日曜。あっという間だ。
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戻ってきたプレスビルで何万枚という写真と対峙するとあっという間では無かったことに気がつく。最高の舞台で果たして満足のいく写真が一枚でも撮れただろうか。最後にあの坂を越えれば納得のいく一枚が撮れたんじゃないか。自問自答が続く。
ため息をつく僕のとなりで20年近くマスターズを撮り続けているフォトグラファーがパソコンとにらめっこしている。彼でさえ何度も首をひねり、眼をとじている。なるほど、だからこそ20年間毎年ここに戻ってくるのだと納得する。
レンズに映る緑のフェアウェイと青い空、真っ白なキャディビブス、そして黄色いピンフラッグ。選手もフォトグラファーもいつの日か自分自身が納得できる長い1日を過ごすためにまたここに戻ってくるのだろう。This is MASTERS。(フォトグラファー・今井暖)
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