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Sunday, December 11, 2022

「予期せぬ妊娠」産後に入居可能 県営住宅に「ステップハウス」整備 - 毎日新聞

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県営住宅に設けられた「ステップハウス」。ベッドから赤ちゃんが落ちないよう、ベビー布団にした=神戸市で2022年11月28日午後2時18分、井上元宏撮影
県営住宅に設けられた「ステップハウス」。ベッドから赤ちゃんが落ちないよう、ベビー布団にした=神戸市で2022年11月28日午後2時18分、井上元宏撮影

 予期せぬ妊娠をした母親が出産後に母子で入居できる部屋が神戸市内の兵庫県営住宅に整備された。日当たりの良い畳張りの1DKで、支援団体のスタッフが週1~2日訪問して育児や仕事探しなどを手伝う。名称は自立への助走という意味の「ステップハウス」。公営住宅の活用は全国でも珍しいという。

 県から妊娠SOS相談事業などを委託されている公益社団法人「小さないのちのドア」(神戸市)の新規相談者は21年度、3129人に上った。10~20代で虐待やDV(家庭内暴力)を逃れてきた女性も多い。3~4カ月に1度は陣痛が始まってからの電話があり、21年は自宅で出産後すぐの相談も2件あった。

「ステップハウス」について「小さないのちのドア」の永原郁子代表(右)から説明を受ける斎藤元彦知事=神戸市で2022年11月28日午後1時52分、井上元宏撮影
「ステップハウス」について「小さないのちのドア」の永原郁子代表(右)から説明を受ける斎藤元彦知事=神戸市で2022年11月28日午後1時52分、井上元宏撮影

 いのちのドアは、頼る人がいない妊婦が出産後6カ月まで過ごす「マタニティホーム・Musubi(むすび)」(6部屋)を運営。母親が我が子と暮らし、育児に慣れながら自立に向かう準備ができる場づくりの必要性も訴えており、県は市内の県営住宅2室をステップハウスにした。

 準備が整った1部屋は、ベビーベッドからの転落を防ぐため、畳張りに布団を敷いた。おむつに加え、キッチンには離乳食用の食器や電動ハイローチェア、浴室にはバスチェアを準備。できるだけ物を置かず、母親が乳児に集中できるようにしている。いのちのドアのスタッフがSNS(ネット交流サービス)で常時相談を受け付け、健診に同行したり、住まいや保育所探しなどを手伝ったりする。

 入居期間は6カ月。自立の一歩として、収入に応じて約2・5万~7万円の家賃負担を求める。とはいえ、仕事もなく収入がないケースが多いと想定され、追加の減免措置も用意する。永原郁子代表は「社会の冷たい側面を一身に受けてきた方々に、温かさを伝えたい。ここがあったから頑張れる、という場所にしたい」と話す。

 ステップハウスを出た後の自立を支援するため、県はふるさと納税に母親の資格取得や家電購入費の寄付メニューを設けている。目標額600万円に対して11月末の寄付額は約70万円にとどまる。

 11月28日に視察した斎藤元彦知事は「母親の自立にはホップ、ステップ、ジャンプの段階に応じた支援が必要だ」と協力を求めた。【井上元宏】

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