18日開幕の選抜高校野球大会で、京都・龍谷大平安の「師弟」が26年ぶりに甲子園に戻ってくる。原田英彦監督(62)と昨春からコーチを務める川口知哉さん(43)。校名が平安だった1997年、川口さんが左腕エースとして春は8強、夏は準優勝を飾った。プロでは芽が出なかった教え子の人間的成長を感じ取った原田監督は、次期監督候補として期待をかける。
川口さんは甲子園で速球と大きく曲がり落ちるカーブを投げ込んだ。完封すると、「次は完全試合を目指す」と宣言。「ビッグマウス」と話題を呼んだが、「本当はマスコミの方に言わされた」と懐かしそうに笑う。ドラフトでは1位指名に4球団が競合した末、オリックス入団が決まった。次代のスター候補だった。
ところが、2年目のオープン戦に足を運んだ原田監督は川口さんを見て驚いた。豪快さが消え、「球がとんでもない所へ行く。3年間はフォームを触らない約束だったのに」と落胆した。
フォーム修正は出口の見えない不振を招いたが、川口さんはあきらめなかった。「(コーチの話を)聞くだけじゃなく、勝てる投手の何が良くて、他の投手はなぜ一軍に上がれないのかを見るようになった。観察力がついた」。そして、一軍にたどり着く。結局、1勝もできなかったが、「今は指導者になるために、あれだけの苦労をしたと思える」と力説する。
7年間のプロ生活の後、家業の住宅外装の施工に従事し、女子野球の指導者を経て、原田監督の誘いで昨年4月、母校の事務職員となった。グラウンドでは投打両面の指導に取り組む。
原田監督は「15、6歳から見ているが、怒った顔を一度も見たことがない」と評する。川口さんは「とにかく選手を見るようにしている。質問してきそうなことは大体わかる」と言い、山口翔梧主将は「打撃の調子が良いときは何も言わず、悪くなると助言してくれる。難しい言葉ではなく、何でも分かりやすく教えてくれる」と信頼を寄せる。
原田監督は「プロではほとんど観客がいない消化試合で投げる姿も見てきた。挫折は人を大きくする。もう一度、ユニホームを着せたかった。私が甲子園で勝てなかった時、平安の名を取り戻してくれたのが川口。後を託したい」と語る。
原田監督と再び臨む甲子園に、川口さんは「相手よりも気持ちが強いかどうか。十分、戦える力はある」と、9年ぶりの優勝を狙う。(中村孝)
からの記事と詳細 ( 4球団競合の「ビッグマウス」川口知哉、コーチとして甲子園に ... - 読売新聞オンライン )
https://ift.tt/CnFPEat
No comments:
Post a Comment