「9月に第一子が生まれるという事実を発表することができ、私と夫ベンジャミンは喜びに満ち溢れている。家族を作るという夢が叶い、まだこれが現実だと信じることができないほど嬉しい」と、エレン・ファンダイク(オランダ)は所属するトレック・セガフレードの公式リリースでコメントした。
妊娠が発覚したのは今年1月のトレーニング合宿中。「もちろんこの音速のように速く、輝くスピードコンセプト(トレックのTTバイク)で今シーズンを走ることができず残念に思う。アルカンシエルを着てツール・ド・フランス・ファムやブエルタ・ア・エスパーニャに出場したかった。また、世界王者のタイトルも守りたかった」とファンダイクは語る。
「だけど昨年の上旬に契約更新の話し合いをした際に、私には2024年の五輪でメダルを獲得することと同時に、家族をスタートされるという願望があった。そしてトレック・セガフレードはその両方の希望について理解し、歓迎してくれた」
ファンダイクは2006年にプロキャリアをスタートさせた36歳。スピードスケート選手を経た後、タイムトライアルスペシャリストとしてここまで66勝を積み重ねてきた。2013年に自身初となるTT世界王者に輝き、2021年と22年には2連覇を達成。また昨年5月にはアワーレコードに挑戦し、49.254kmで世界新記録を樹立した。
9月の出産後は、すぐさま競技復帰を目指すと宣言するファンダイク。その理由を「オリンピックでやり残したことがあるから。2016年大会の個人TTでは落車して4位に終わり、東京大会には選ばれもしなかった」と説明し、「既にベンジャミンとジョシュ(パーフォーマンスコーチ)と共に、2024年のパリ大会を目指す仮の復帰計画を立てている」と競技復帰への意気込みを語った。
トレックでは昨年9月に第2子を出産したエリザベス・ダイグナン(イギリス)が今年5月に競技復帰を予定しており、ファンダイクも「リジ―(ダイグナン)の存在は大きく、彼女が私のロールモデルとなっている。家族を持っても競技復帰できると証明してくれた。もちろん彼女にアドバイスをもらうつもり」とコメントする。
そしてファンダイクはプレスリリースを「選手の妊娠をサポートし、前例を作ってくれたトレックには感謝している。そしてこれがUCI(国際自転車競技連合)の規則となってくれることを願っている」と締めくくった。
text:Sotaro.Arakawa
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