人工衛星レーザー測距観測は、地上約500~2万キロ上空を周回している人工衛星の動きに合わせて観測局の望遠鏡からレーザー光を発射し、人工衛星から反射光が戻ってくるまでの時間で、人工衛星と観測局の距離を測る技術。
世界では約40カ所でこの観測が行われており、得られたデータを集めて分析。人工衛星の軌道やそれぞれの観測局の地球上の位置を精密に決定することができ、船舶が航海に使用する海図の位置(緯度・経度)の基準である「世界測地系」の維持や日本列島の正確な位置決定に用いられているという。
下里水路観測所は54年に設置された海上保安庁の水路観測所。船舶の航行に必要な情報を収集するため、当初は地磁気観測や天文観測を行ってきたが、82年からは人工衛星レーザー測距観測を導入し、同年3月9日に初めての観測に成功した。観測の成功数は天候などによって左右されることから毎年異なるが、最も多い2004年には2593回成功。今年6月7日に5万回を達成した。
■今年の成功率56%
1回の観測にかかる時間は5分から1時間程度。観測する際には米航空宇宙局(NASA)などから提供される人工衛星の軌道情報を基にして人工衛星の位置を計算し、望遠鏡の向きやレーザー発射のタイミングは自動制御している。しかし、多くの場合に計算と実際の位置にずれがあるため、観測者が微調整をすることによって観測を成功させている。今年の成功率は56%という。
観測所の鈴木充広所長(60)は「地球上の位置はプレートが動くことによって少しずつ変化している。スマートフォンやカーナビなどの普及に伴って、正確な位置情報は海上の船舶だけでなく陸海空全てで現代社会を支える重要な社会インフラになっている。人工衛星レーザー測距観測の重要性はますます高まっており、下里水路観測所ではこれからも昼夜を問わず人工衛星を追い続けたい」と話している。
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