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「下の立場の人たちによりよく伝えるためには、どうすればいいんだろう?」
リーダーとしての立場についたことがある人なら、一度や二度はそう感じた経験があるはず。『リーダーは話し方が9割』(永松茂久 著、すばる舎)の目的は、そうした悩みからリーダーを解放することにあるのだそうです。
ただし、ここでいうリーダーとは、多くの人に対する影響力を持っていたり、大きな会社を率いる著名な経営者ではないようです。
たとえば、中小、零細企業の経営者や経営幹部、課長、係長などの上司、店長やマネージャー、学校の先生、“先輩”と呼ばれる立場にいる人、あるいは親や、弟や妹を持つお兄ちゃん、お姉ちゃんまで、「ひとりでも導くべき人がいる人」に向けられているというのです。しかもそれは、決して難しいことではありません。
うまくいくリーダーになるためにやるべきたった1つのこと、それは
「相手の立場や気持ちを理解し、寄り添う気持ちを持って話す」
ただそれだけです。
これさえできれば、あなたは簡単に下の立場の人たちから愛されるリーダーになれます。難しい理論やテクニックは必要ありません。(「はじめに リーダーよ、話し方で悩むのはこれで終わりにしよう」より)
さらに、話し方に対しての苦手意識がなくなったり、下の立場の人と話すのが楽しくなったり、チームがうまくいくようになったり、思いが伝わるようになったりと、本書を読むことによって得られるメリットは少なくなさそうです。
第2章「人をやる気にさせるリーダーの話し方」のなかから、いくつかのポイントを抜き出してみましょう。
どうすればうまく伝わるのか
リーダーである以上、同じ失敗を繰り返す部下に対してイライラしたり、頭を抱えてしまうことはあるもの。でも、きちんと伝えたはずなのに、なぜ部下にはしっかり伝わらないのでしょうか?
著者によればそれは、「伝えた」と「伝わった」が食い違っているから。だから難しいわけですが、そうした悩みを少しだけ軽くする3つのステップがあるそうです。
まず1つめは、「理解した内容を相手に話させてみる」こと。
こちらがしっかり伝えたつもりだったとしても、理解度は相手によって異なるもの。一を聞いて十を知る人がいる一方、聞いた一をしっかり理解するまでに時間がかかる人もいるわけです。
だからこそ
「いま伝えたことに対して、どう理解した? 私に言ってみて」
と相手の口から発言するようにするのです。
そうすることで、相手の理解が間違っている場合は、もうちょっとその部分に絞って丁寧に説明するようにしましょう。(91ページより)
著者がすすめるステップの2つめは、「発表できる場所を準備する」ということ。
例えば「この本を読んで明日のミーティングで内容を要約して10分で話してください」と言われると、読書に対する集中力は爆発的に上がります。
多少強引なようですが、人は自分の言葉で伝えるということを課せられたとき、そのテーマに対して真剣に考えるようになるのです。(91ページより)
オンライン会議、会社のミーティング、コミュニティの発表会など、発表の場も多種多様。そして大切なのは、そういった場所で発言する機会をあらかじめ準備しておくこと。そうすることにより、人の成長速度は大きく変わるというのです。
そして3つめは、「教える立場を与え、アウトプットをさせ続ける」こと。
なぜなら、人がいちばん学べるのは「人に教える立場に立ったとき」だから。
自分より下の人ができると、その人は小さなリーダー役になります。
いつまでも責任のない立場だと、なかなか人は成長しません。
そうではなく、小さなチームでもいいので、なんらかの形を作り、その人になんらかの教える立場での役割を与えましょう。(92ページより)
教えるということは、「自分の言葉で伝える」ということ。聞いてばかりではなく、教えることを通して自分のことばになったとき、人ははじめて理解できるようになるのだと著者は述べています。(89ページより)
「なぜ」を伝える
多くのリーダーや上司を見てきた結果、著者には確信していることがあるのだそうです。
優秀なリーダーであればあるほど、目標ではなく「目的」を伝えているということ。つまり、「なぜやるのかという意味」です。
なぜ、この仕事をするのか?
なぜ、この会社が存在するのか?
なぜ、報連相(報告・連絡・相談)が大切なのか?
ここを語るのです。(101〜102ページより)
夢や目標は、それを持てる人と持てない人との差がはっきりと分かれるもの。しかも、会社の求める目標と個人の目標は、必ずしも一致するとは限りません。そういう意味でも、「なぜ」の部分をしっかりと伝えるべきなのです。
「なぜ、この仕事が必要なのか?」「この仕事がどんな意味を持つのか?」が明確になったほうが、人のモチベーションは継続します。(103ページより)
優秀なリーダーはそれをよく理解しているからこそ、「なぜ」を軸として部下やスタッフたちに語りかけるということです。(100ページより)
本書はビジネスパーソンのみならず、親やコミュニティリーダーなど、仕事以外の立場でのリーダーも読めるように書かれているのだそうです。
「部下」という部分を「メンバー」「生徒」など、それぞれの関係性にある人に当てはめてみれば無理なく理解できるということ。「伝える」ことの難しさを感じているなら、手にとってみてはいかがでしょうか?
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Source: すばる舎
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